ISID engineering

株式会社 ISIDエンジニアリング

コラム

エンジニアが「考える」ための考え方
~分けて、整理して、繋げる~
第42回:エンジニアの教育

技術アドバイザー 岡建樹

 今回は、「分けて、整理して、繋ぐ」という考え方を基にして、エンジニアに対する技術教育をどのようにすれば良いかという点について考えてみたいと思います。

 20年近く前に、株式会社アイデアの前古氏の講演で「鬼に金棒の技術者を目指そう」という話を聞きました。最近の前古氏のコラムでも書かれています。(末尾の参考をご覧ください)
 「鬼に金棒」の意味合いを、「分けて、整理して」みると、図1のように書けます。

図1
図1

 鬼は、強い力と金棒(強力な武器)と金棒を振り回す技術を持っています。ですから、どのような敵が来たとしても、戦うことができるということです。その「強い力」「金棒を振り回す技術」「強力な武器」をエンジニアの立場で考えると、「基本的な考え方・技術能力」「手法を使いこなす能力」「各種の手法」と言うことができます。技術に対するしっかりとした考え方を持ち、各種手法をきちんと理解し、そして、それらの手法を使いこなすことができるエンジニアが、目指すエンジニア像です。
 本連載コラムでは、前半の「技術に対する考え方」に関するところで、特に「基本的な考え方・技術能力」について紹介し、中盤以降のコラムで、「様々な手法」と「その使い方」についていろいろと紹介をしてきました。本連載コラム全体として、「鬼に金棒のエンジニアとはどういうものか」ということについて紹介をしてきたということです。

 それでは、そうした「鬼に金棒のエンジニア」を、どのようにして教育し、育成していけば良いでしょうか。
 エンジニアの教育にあたって様々な課題があることは承知していますが、ここでは次の3つの課題に絞って考えてみます。
 「基本的な考え方、技術能力」に関する課題として、次の2つを取り上げます。
(1)技術能力のベースである基本的知識の理解度を、使えるレベルにまで上げる
(2)現象を理解する力,モデル化する能力を高める(考えるやり方を身に付ける)
 「手法を使いこなす能力」「各種手法」に関する課題としては次のものがあります。
(3)各種手法の本質を理解した上で使いこなせるようにする(手法に使われないようにする)

 それらの課題に対する方策を検討するにあたり、エンジニアを教育する「場」として、現場の業務の中での教育である「OJT」と、現場の業務から離れた教育である「OffJT」の2つの観点に分けて考えることにします。どちらかがあれば良いということではなく、その意味合いからして両方の教育の「場」が必要です。
 「OJTのみ」であれば、直接の上司の影響が大きく、上司がその教育内容の知識を持っていない、あるいは理解をしていなければ、担当者も学ぶことができません。理解することができません。
 「OffJTのみ」であれば、知識としてその時は知ったとしても、実際の業務での実践を伴わないので本質的な理解ができません。知識の本質は実践を通して身に付くものだからです。
 つまり、エンジニアの教育にあたっては、「OJT」と「OffJT」を、有機的な繋がりを持ちつつ推進することが必要であるということです。「OffJT」で系統的に知識を学び、「OJT」でそれを実践することで、効率的に知識が身に付き、技術や手法の本質を理解出来るようになり、実際のエンジニアとしての業務において有効に活用できるようになるということです。

 縦軸にエンジニアの教育に関する課題を、横軸に教育の「場」である「OJT」と「OffJT」をとって、どのようにすれば良いかを表の形で示します。(表1)
表1
表1

 表の中に、課題とそれぞれの場でのエンジニアの教育において重要と思われる点を記しています。課題の種類によってやり方が異なるということと、「OffJT」と「OJT」を連携して行うとはどういうことであるかが分かると思います。
 「基本的な考え方、技術能力」の教育においては、「OJT」での検討結果を具体的な事例として「OffJT」での教育において用いることで、系統的な学びを基にした実践的な理解に繋がります。「手法関連」の教育では、「OffJT」の学びにおいて俯瞰的に見ることで手法の本質的な理解を目指しますが、「OJT」においても、手法の適用を目的とするのではなく、実践を通して手法の本質を理解するということを目指します。同じものを目指していますので、相乗効果によって各種手法に関する理解が深まると思われます。

 エンジニアの教育に関する具体的な仕組みは、各社でいろいろとあるでしょうが、表1の枠組みによって各仕組みを位置付けてみると、それぞれの仕組みや目的、内容の妥当性が明らかになるのではないかと思います。また、「繋ぐ」という観点で、それらの仕組みをどのように連携していけば良いのかということも明らかになると考えます。

 今回は、エンジニアの教育について、「分けて、整理して、繋ぐ」という観点で、教育のやり方をどう分けて整理するか、また、それらのやり方をどう連携していくかということについて、紹介をしました。

2021.9.13

参考:

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