ISID engineering

株式会社 ISIDエンジニアリング

コラム

エンジニアが「考える」ための考え方
~分けて、整理して、繋げる~
第41回:「マップ」について

技術アドバイザー 岡建樹

 先回は、「分ける」切り口のひとつとして、周波数(空間&時間)について紹介しました。今回は、「整理して」、「繋ぐ」やり方のひとつである「マップ」について、人工知能学会が提案している「AIマップ」を参考に説明を行いたいと思います。

 マップと言っても様々なものがありますが、一番なじみがあるのは「技術マップ」です。対象とする技術を分け、分けたそれぞれの技術を理解し、その上で、各技術の関係性や全体の中での各技術の位置付けを基にしてそれらの技術を配置し、また関係性を表示するものです。それぞれの技術を配置すること、関係性を表示することは、「繋ぐ」ことそのものと言えます。その繋ぎ方、つまり配置の仕方、関係性の表示の仕方によって、ある目的に対して技術全体を見えるように、分かるようにしているということです。

 「AIマップ」を参考に、「技術マップ」における繋ぎ方(技術の配置の仕方、関係性の表現の仕方)について、紹介をしていきます。「AIマップ」につきましては、参考資料のHP等をご覧いただければと思います。また、本コラムの中でも、HPから資料の一部を掲載させていただいています。

 「AI技術マップ」は、技術を配置するための視点をいくつか持っています。その中の主なものを、実際のマップの一部を紹介しながら説明します。

① 技術の使われるシーンに対応して配置する
 AIのひとつの定義として、「人間と同じ知的作業をする機械を、工学的に実現する技術」と捉える考え方があります。そのように定義しますと、AIに関わる様々な技術を、人間の知能処理の流れに関する考え方で整理することができます。図1の左側の「ロボット・エージェント」の中に、知能処理が流れを示されています。

図1
図1

 人間は、目に入った視覚像を知覚・解釈し、必要な情報に注意を向けて評価し、選んだ情報に基づいて新たな目標を定め、意図を形成して、一連の操作系列として選択し、具体的に実行します。その処理の流れに沿って、どの技術がどの処理に対応しているかという観点でAIに関わる技術を整理して示すということです。図2が、各技術を位置付けたマップになります。
図2
図2

 AIに関するそれぞれの技術が、人間の知能処理の流れの中でどう位置付けられているかを分かりやすく表現していると思います。

② 技術の基盤と応用という観点で配置する
 技術には、大きく分けると、基盤技術と応用技術があります。別の表現では、ある技術に着目した場合、その技術を構成する基盤技術は何か、その技術を応用するための技術は何かということを考えることができます。その観点で、AIに関わる技術を整理し配置したのが図3のマップです。
図3
図3

 この図では、縦軸に、上に「応用」下に「基盤」を置いて、各技術を位置付けることができるようになっています。この図は枠組みだけですが、各枠組みに、各AI技術を書き入れることができます。詳細は、実際のHPを参照してください。
 このマップを参考にすることで、現在検討している技術の応用技術は何か、基盤技術は何かということを知ることができ、技術検討の目的や次の検討対象等を明確にすることが可能になると思われます。

③ 時間軸に沿って配置する
 AIマップでの事例は示しませんが、一般的な技術マップとして、時間軸を横軸にとって技術の変遷を示すことはよく行われています。技術がどのように変化して来たのか、どの技術とどの技術から新しい技術が生まれたのか、そしてどのように変化していくだろうかということを考える上で参考になります。

 これまで「技術マップ」について紹介してきました。「技術は課題を解決するための手段である」とすると、どのような「課題」があるのかという観点も重要です。
 AIマップには、上記で紹介してきた「技術マップ」に加えて、「課題マップ」があります。多くの課題に対してAI技術を活用することが可能です。それらの課題を整理し、マップとして表現したものです。詳細はHPを参照下さい。

 繰り返しになりますが、技術の開発にとって、目的や目標、すなわち課題はとても重要です。課題に関してもマップで整理しておき、課題マップと技術マップを重ね合わせることで、各技術の位置付けがさらに明確になり、適切な技術開発、新たな技術の開発が可能になると思われます。
 表1に、AIマップにおける「課題マップ」と「技術マップ」との関係を表現した例を、HPの資料から示します。
表1
表1

 「分けて、整理して、繋ぐ」という本コラムの副題によって実現する形のひとつとして、技術「マップ」を紹介しました。これまで繋ぎ方として示してきた「展開」(階層構造、ツリー構造)や「二元表」(QFD)だけでなく、「マップ」のような繋ぎ方(見える化する方法)もあるということです。

2021.8.30

参考:

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