ISID engineering

株式会社 ISIDエンジニアリング

コラム

エンジニアが「考える」ための考え方
~分けて、整理して、繋げる~
第39回:加工工程や製造工程の繋がりを表現する「工程対応二元表」(2)

技術アドバイザー 岡建樹

 今回は、「工程対応二元表」の2回目として、特に製造工程で重要な「センサーと制御」の位置付けをこの二元表で表現できるということを紹介します。何か品質問題が起こった時に、原因として、工程パラメータだけでなくセンサーや制御に原因がある場合も抽出することができるようにしている、ということです。

 製造工程や加工工程では、各工程で、センサーによる計測とそれに基づく製造条件や加工条件の制御が行われています。また、先回も述べましたが、各製造工程や加工工程は繋がっています。それによって、次のような課題があります(図1参照)。

図1
図1

 1)品質問題が発生した時に、どの工程のどの要因で起こっているのかを、各工程のセンサーと制御の影響を含めて順序立てて調べることができるようにしたい
 2)上流側の工程での設定条件の変更、あるいはセンサーや制御の不良や変更の影響が、工程を通して最終的な品質にどのように影響するか知りたい

 こうした課題に対応するために、先回ご紹介した「工程対応二元表」をベースとして、センサーや制御に関する情報まで示すことができるようにした方法を提案しています。図2に、センサーや制御まで含めた「工程対応二元表」の考え方を示します。
図2
図2

 手順を追って説明します。
  • 製造工程や加工工程は、図1で示すように複数の工程が繋がっています。その各工程をブロックとして、入出力で繋いで全体の工程を表現します(工程機能ブロック図)。
  • それぞれの工程機能の内容(メカニズム)を理解します。内容(メカニズム)とは、それぞれの工程の入力と関係する工程パラメータによって、どのようにしてその工程の出力が決まるかということです。また、その工程の中にあるセンサーの計測結果によって工程パラメータを制御している場合、その制御のやり方が、図にあるように、入力を計測して制御するフィードフォワード制御(FF制御)なのか、出力を計測して制御するフィードバック制御(FB制御)なのか、また、工程パラメータそのものの安定化を図るための制御(安定化制御)なのかを理解します。
  • その工程のメカニズムを理解した結果を、工程ごとに二元表で表現します。先回のコラムで示した、縦軸に入力と工程パラメータをとり横軸に出力をとった二元表に加えて、その左側に、縦軸にも横軸にも入力と工程パラメータという同じ情報をとった同次元情報間影響二元表を作成します。その二つの二元表の中に、入出力の関係性だけでなく、センサーで何を計測し、その計測結果を基にどの工程パラメータの制御しているのかということを示すことができます。
  • 前工程の出力が次の工程の入力になりますので、各工程の二つの二元表は、入出力を通して前工程と後工程に繋がっています。工程全体を、繋がった二元表群として表現できるということです。

 図2の下半分に示した二元表群が、センサーと制御まで含めた「工程対応二元表」になります。

 先回と同様に、このセンサーと制御まで含めた「工程対応二元表」を用いることで、図1で示した課題にどのようにして対応しているかを説明します。

 ひとつ目は、品質問題がどの工程のどの工程パラメータ、あるいはどのセンサーや制御の影響で起こっているかということを、順序立てて調べる場合の活用です。最終工程の出力である品質項目の中の問題のある品質項目から開始して、「工程対応二元表」の繋がりを通して、関係する工程の入出力や工程パラメータを全て抽出することができます。図3がその事例です。
図3
図3

 最終工程(第4工程)の出力41が製品のある品質に相当しますが、それが何らかの問題を起こしたとします。「工程対応二元表」の繋がりを通して、その要因を、図3のように制御の影響を含めて抽出することができます。抽出された情報が工程の流れに沿って整理されていますので、品質問題の原因を検討する時に、各工程パラメータの影響だけでなく、各工程において関係しているFF制御やFB制御の影響も順序立てて検討することができます。

 ふたつ目は、工程において設計変更や故障モードに相当する変動があった場合の品質への影響を確実に抽出できるということです。設計変更する工程パラメータから開始して、「工程対応二元表」の繋がりを通して、最終工程の出力である品質までの関連情報を、センサーや制御の影響含めて全て抽出することができます。図4がその例です。
図4
図4

 工程の設計変更や変動の影響が、各工程の二元表の入出力を通してどのような品質に影響を与えているかを、関係しているセンサーや制御による影響を含めて表現できています。ですから、その品質の状況を確認し、問題が発生する可能性があるのであれば、関連している工程パラメータや制御を調整することで、設計変更や変動による品質問題発生を未然に防ぐことが可能になります。

 先回も説明しましたが、従来のQFDでは、「顧客の要求」から「工程パラメータ」までを縦方向に分けて整理して二元表で繋いでいました。それに対して、「工程対応二元表」では、機能や工程等の横方向の繋がりのある情報を、機能ごと、工程ごとに分けて二元表で整理し、それぞれを繋いで機能全体、工程全体を表現しています(図5参照)。従来のQFDの縦の繋がりだけでなく、機能や工程の横の繋がりも表現できるようにしているということです。QFDを進化、拡張させているという意味で、QFD-Advancedのひとつの形と考えています。
図5
図5

2021.7.26

一覧へ戻る
PAGE TOP